医療コラム

常夏の国でもなぜか6月から増える?!

31.05.2026

世界的に夏にかけて流行する3大夏風邪のひとつでもある、「咽頭結膜炎」についてです。
この病気は通称プール熱ともいわれています。プールによって感染が広がるという意味と、プールに入る時期ごろから流行が始まるという2つの意味があるようです。しかし、このプール熱の原因はアデノウイルスというウイルスで、プールは感染経路の一部に過ぎず、飛沫感染と接触感染によって感染するのです。

具体的には、ウイルスが、口・鼻の中やのどの粘膜あるいは眼の結膜から体の中に入りこんで感染します。またアデノウイルスは便からも排出されます。よって、ウイルスを持った子どもがトイレに行った際に十分に便をふき取らないままプールに入ってしまうと、そこから排出されるウイルスがプールの水を通じて体内に入り込み、感染してしまうのです。潜伏期間は5日間から10日間ほどで、発熱やのどの痛みを伴います。そして、結膜炎(眼の充血・痛み)を起こします。

6月~7月にかけて感染が増え始めていきますが、残念ながら、アデノウイルスを根本的に治療する薬剤はありません。そのため、プール熱にも特効薬はなく、基本的にはのどの痛みには鎮痛薬、高熱には解熱剤などを処方し対症療法で様子を見ながら自然に治るのを待つことになります。そうならないためには予防がとても重要です。プールに入った後の手洗い、うがいを必ず行ったうえで、目からの感染も決して珍しくないため、目も洗浄しましょう。コンドミニアムなどのプールは小さいお子さんが多く利用しますが予防をしっかり行えば感染が未然に防げますが、もし、思い当たる症状がある際には早めに医療機関を受診しましょう。


著者紹介

ビビアン医師/Dr. Vivien

ビビアン医師/Dr. Vivien

Medical Director/Family Medicine Specialist (家庭医療専門医)

モスクワにて医学部を修了後、マレーシア・ペナンの総合病院で臨床経験を積む。その後、ペラ州バトゥ・カジャ病院やセランゴール州のクリニックにて常勤医師として勤務。2018年よりひばりクリニックに勤務し、現在はメディカルダイレクターとして地域医療に従事している。小児科および心療内科に関心が高く、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を大切にしている。