医療コラム

脳梗塞が起こったら

21.06.2026

脳梗塞が起こったら

脳梗塞と聞くと、突然意識を失って手足に麻痺が出る病気というイメージがあるかもしれません。しかし、脳梗塞の症状は軽い症状から重症のものまで様々。ダメージを受ける脳の場所や程度によって、あらわれる症状は異なります。

脳梗塞で最も多い症状は、体の右半身、もしくは左半身の麻痺症状です。急に手足から力が抜けたり、ものにつまずきやすくなる、他人から片足をひきずっていると指摘されることもあります。その他、呂律が回りにくくなったり、言われていることが理解できない、物が二重に見えるなどの症状が起こることがあります。

脳梗塞が起こったら、可能な限り早く病院を受診してください。なぜなら脳梗塞の効果的な治療は、時間に制限があるからです。特にt-PA治療(経静脈血栓溶解療法)は、発症してから4.5時間以内に点滴投与を行う必要があります。カテーテルを用いて詰まった血栓を取り除く治療もできるだけ早く行うことで、脳細胞が壊死して脳梗塞になる前に救える可能性があります。

脳梗塞を含む脳卒中を疑うためのFAST(ファスト)という言葉があります。F・A・Sは脳卒中を疑うべき3つの症状の頭文字です。それぞれ、顔の麻痺(Face)、腕の麻痺(Arm)、言葉の障害(Speech)です。FASTのTはTimeの頭文字で、発症時刻のことです。3つの症状と発症時刻を確認したら、すぐに救急受診を行ってください。

脳卒中を疑う症状が出ても、しばらく様子を見ているうちに症状がおさまることがあります。症状が一時的ですぐにおさまると、安心して病院に行かない場合がありますが、この症状は一過性脳虚血発作(TIA)とよばれるものかもしれません。TIAは、脳の一部の血流が一時的に悪くなることでで症状が現れますが、24時間以内にその症状が完全に消えてしまうものをさします。TIAを治療しないで放っておくと、3ヶ月以内に15〜20%の方が脳梗塞を発症します。症状が出たら気のせいなどとは思わず、すぐに病院を受診してください。


著者紹介

ビビアン医師/Dr. Vivien

ビビアン医師/Dr. Vivien

Medical Director/Family Medicine Specialist (家庭医療専門医)

モスクワにて医学部を修了後、マレーシア・ペナンの総合病院で臨床経験を積む。その後、ペラ州バトゥ・カジャ病院やセランゴール州のクリニックにて常勤医師として勤務。2018年よりひばりクリニックに勤務し、現在はメディカルダイレクターとして地域医療に従事している。小児科および心療内科に関心が高く、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を大切にしている。