医療コラム

爪に数年間潜伏します

12.07.2026

爪に数年間潜伏します

マレーシア常夏の国なのでプールやアウトドアなど外でアクティブに活動する機会が多くなりますね。男性はあまり実感しないかもしれませんが、女性が意外と気にしている体の部位があるのです。それが「爪」です。常夏の国ではサンダルを履く機会が多いため足の爪にも気を配っています。しかし爪に気を配っていても気が付きにくいのが「爪水虫」です。

実は足の水虫をもつ人に併発するケースが多いといわれておりますが、水虫特有の“かゆみ”がないため、自覚しづらい病気なのです。白癬菌は自覚症状がないまま、爪の中で数年間にわたって潜伏(居座り)し続けることも珍しくありません。爪水虫は、足水虫と同様に白癬菌(はくせんきん)に感染してしまっている状態です。プールや浴場、サウナなど不特定多数の人が利用する施設などで感染することが多いです。また爪水虫になる人の多くは、足の親指の爪が感染しています。

初期の爪水虫は、放置していても痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。しかし、爪水虫を放置すると着実に症状は悪化してしまいます。悪化すると爪が厚くなり色が濁っていき、爪の形も変形してしまいます。さらに初期の段階では親指だった爪水虫が、他の爪にも感染することもあります。

そうなると治療にも時間がかかってしまうので早急に治療をすることが重要です。爪は医学的には皮膚の分類とされていますが、爪は固くてある程度の厚みがあるため、外用薬だと浸透しにくく、血流がない爪のなかの白癬菌を殺すことができないのです。よって治療には飲み薬を使用して体の中から白癬菌を殺菌していくのです。タオルやバスマットなどを共有する家族の中でも非常に感染が広がりやすいこの病気ですが、清潔に洗浄することが一番の予防です。初期症状がほとんどないからこそ、異変に気がついたら早めに医療機関を受診することをお勧めします。


著者紹介

ビビアン医師/Dr. Vivien

ビビアン医師/Dr. Vivien

Medical Director/Family Medicine Specialist (家庭医療専門医)

モスクワにて医学部を修了後、マレーシア・ペナンの総合病院で臨床経験を積む。その後、ペラ州バトゥ・カジャ病院やセランゴール州のクリニックにて常勤医師として勤務。2018年よりひばりクリニックに勤務し、現在はメディカルダイレクターとして地域医療に従事している。小児科および心療内科に関心が高く、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を大切にしている。