医療コラム
侮れないデング熱!
05.05.2026

簡単にペチッと叩き潰してしまえば何てことのない蚊ですが、これが意外に小さくても侮れません!マレーシアにおいてデング熱は、年間を通じて警戒が必要な感染症です。
デング熱は、気候の変化に影響される「顧みられない熱帯病」とされており、これはWHO(世界保健機関)が「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」と定義している疾患の一つです。デングウイルスを病原体とし、蚊(主にネッタイシマカやヒトスジシマカ)に媒介されて感染します。感染しても無症状の場合もありますが、重症型の「デング出血熱」になると、死に至ることもあります。デングウイルスに感染してからデング熱が発症するまでの潜伏期間は2~14日。ウイルスに感染してもデング熱を発症しない人もいますが、発症した場合には、38度以上の高熱や頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状が現れ、発疹が出ることもあります。デング熱には決定的な特効薬はないものの、予防としてのワクチン接種や、対症療法が重要です。発熱や痛みなどそれぞれの症状を抑える適切な対症療法を受ければ、ほとんどの場合、1週間程度で回復します。デング熱を防ぐには、媒介する蚊に刺されないことです。肌の露出を避け、水たまりの近くに行かない、虫除けスプレーを使うなどして、蚊を寄せ付けない工夫をしましょう。
デング熱の初期症状にみられる発熱や筋肉痛、関節痛などの症状は、風邪やインフルエンザにかかった際にもみられます。これらの症状だけから素人判断を下すことは危険です。これらの症状が現れた場合は風邪やインフルエンザのほかにデング熱である可能性も考えて、早めに医療機関を受診して、適切な診断・治療を受けましょう。
著者紹介

ビビアン医師/Dr. Vivien
Medical Director/Family Medicine Specialist (家庭医療専門医)
モスクワにて医学部を修了後、マレーシア・ペナンの総合病院で臨床経験を積む。その後、ペラ州バトゥ・カジャ病院やセランゴール州のクリニックにて常勤医師として勤務。2018年よりひばりクリニックに勤務し、現在はメディカルダイレクターとして地域医療に従事している。小児科および心療内科に関心が高く、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を大切にしている。