医療コラム
黒とオレンジ、縞模様の憎いヤツ「やけど虫」
09.08.2026

朝起きたら、皮膚が痒みや痛みを伴って赤く腫れていたという経験はありませんか?その原因はもしかすると「やけど虫」のせいかもしれません。
やけど虫の正式名称は「アオバアリガタハネカクシ」。成虫の体長は約6~7mm、頭部が黒色で胸部と腹部がオレンジ色と縞模様になっているのが特徴です。水田地帯や湿地帯、水はけの悪い工事現場などに発生しやすく、マレーシアでは都会でも(比較的高層のコンドミニアムでも!)人家の灯りに誘引されて家の中に入り込みます。このやけど虫は、体内に「ペデリン」という有害物質を持っており、体液が人間の首筋や腕、顔などに付着することでかぶれて、名前のとおり水ぶくれやみみず腫れのようなやけどに似た症状を伴う線状の皮膚炎を引き起こすやっかいな昆虫です。この虫は見かけても絶対に直接手で触れてはいけません。万が一皮膚に触れてしまった時は、すぐに水で洗い流します。実際に皮膚に炎症が起きてしまったら、症状が軽い場合でも早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
当院の患者さんでも多いのが、いつこのやけど虫の被害にあったか自分ではほとんど気がつかないこと。就寝中、知らぬ間にこの虫に顔や体を這われて、翌朝になって患部の違和感に気が付いたといったケースが多くみられます。この虫の体液に触れた手で顔や目をこすったりすると炎症が広がっていってしまいます。特に目の周りをこすったり、掻いたりすると結膜炎を起こしたり、重症化すると稀に失明してしまうこともあります。目にも異変を感じた場合は、眼科での診察も検討してください。
やけど虫は小さいながらも人体に害を与える毒を持つ怖い害虫です。この機会に、ご家族みなさんでこの虫について情報共有してみてはいかがでしょうか。
著者紹介

ビビアン医師/Dr. Vivien
Medical Director/Family Medicine Specialist (家庭医療専門医)
モスクワにて医学部を修了後、マレーシア・ペナンの総合病院で臨床経験を積む。その後、ペラ州バトゥ・カジャ病院やセランゴール州のクリニックにて常勤医師として勤務。2018年よりひばりクリニックに勤務し、現在はメディカルダイレクターとして地域医療に従事している。小児科および心療内科に関心が高く、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を大切にしている。