医療コラム
飛行機で耳が痛くなる理由
06.09.2026

一時帰国や旅行、出張で飛行機に乗った時、離着陸のたびに耳が「キーン」と痛くなったことはありませんか?この痛みは急な気圧の変化に、耳の中の圧力調整が追いつかないことで起こります。
飛行機は高度が変わると、機内の気圧も変化します。特に離着陸時は短時間で気圧が変わるため、耳管がうまく開かないと耳の中と外に圧力の差が生じ、鼓膜が押されたり引っ張られたりして、痛みが出たり、耳が詰まったような感覚が起こります。
耳の気圧調節は、「耳管」と呼ばれる耳と鼻をつなぐ管のような器官でされます。通常は閉じていて、あくびやつばを飲み込むときに開き、気圧を調節します。人によって耳管の太さは違い、空気の通り方にも個人差があります。赤ちゃんや小さな子どもは耳管が細いため空気が通りにくく、耳の痛みを感じやすくなります。風邪や鼻炎、花粉症などで鼻が詰まっている人も、症状が強く出る傾向にあります。
また、実は、耳の痛みは離陸よりも着陸で起こりやすいとされています。離陸では周囲の気圧が下がり、耳の中の空気を外へ逃がしますが、着陸では周囲の気圧が上がり、外から耳の中へ空気を取り込まなければなりません。耳管は外から空気を取り込むほうが少し苦手で、圧力の差が残りやすいからです。
耳に詰まり感や違和感がある場合は、アメを舐める、ガムを噛む、水やつばを飲み込む、あくびをすると改善に向かうことがあります。噛んだり飲み込んだりする動作が耳の奥にある耳管を開き、気圧の変化による耳の痛みを和らげるのに役立つからです。耳抜きも効果的です。耳抜きは口から空気を吸い込んで口を閉じ、鼻をつまんで息が漏れないようにして、吸い込んだ息を耳に送り込みます。
飛行機で耳が痛くなるのは、ごく自然な体の反応です。仕組みを理解して、ガムを用意するなど少しの工夫が快適な空の旅につながります。
著者紹介

ビビアン医師/Dr. Vivien
Medical Director/Family Medicine Specialist (家庭医療専門医)
モスクワにて医学部を修了後、マレーシア・ペナンの総合病院で臨床経験を積む。その後、ペラ州バトゥ・カジャ病院やセランゴール州のクリニックにて常勤医師として勤務。2018年よりひばりクリニックに勤務し、現在はメディカルダイレクターとして地域医療に従事している。小児科および心療内科に関心が高く、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を大切にしている。